飛騨の家具

岐阜県飛騨

遠く平城京・平安京の時代、都の造営にその腕を奮った古代の飛騨の匠。昔から飛騨の匠は木工に対する高い技術評価がありました。(詳しくは飛騨木工連発刊の「飛騨匠ものがたり」に」記載) 大正9年、飛騨地域には無用の長物と言われていたブナの原生林がありました。大正9年、そのブナ材を曲げて椅子やテーブルを作り始めたのがこの地域の家具のはじまりです。曲げ木の技法は日本ではその当時なく、飛騨の匠がはじめて行ったのが最初と言われています。木工技術は匠により建築から家具へも伝承し、現在も各メーカーにて技術を伝承・進化しています。1社からはじまった家具の製造は現在カントリー・クラフト・モダン・アンティークなどそれぞれ特色を持つ30社以上にもなり、椅子、テーブル、ソファ、照明、箱物などを製造しています。その中でも有名なところを数社紹介いたします。

飛驒産業 この地域で最初に家具を作り出したと言われています。当初、曲げ木の高度な技術を駆使して、ウインザーチェアなどアメリカへ大量に輸出していました。高度経済成長期に国内向けの生産をはじめてからは数多くのシリーズを作ってきました。デザイナーとコラボして出来たクレセントや2003年、イタリア工業デザイナーEnzo Mari氏(エンツォ・マリー氏)とHIDAプロジェクトを立ち上げ、日本で問題になっている杉の木の間伐材。杉の間伐材を使った家具においてデザインから取組み商品化されたHIDAシリーズ(限定商品)。他にも本格的な飛騨の古民家にあるような家具「プロヴィンシャル」キズや割れ目などわざと使い古した表情作りを施しています。またカントリー家具の穂高シリーズは1969年にデザイン・製造され、今なおロングセラーシリーズとなっています。

日進木工 北欧風家具シリーズを中心に製造しているメーカーです。飛騨の匠の技術を駆使して、構造的にも細くても丈夫な仕様をしています。商品つくりには非常にこだわりを持ち、きめ細かな仕上げ技術、国内で北欧モダンを追求しているメーカーです。シリーズにはN(エン)シリーズ限定販売、ナチュラルブラウンホワイトウッドオーバルセレクトダイニング、小泉誠氏デザインのワクワークフローリスト和風モダンの格子、オーダーテーブルなどたくさんのシリーズがあります。ナチュラルブラウンシリーズの406チェア(pdf)は非常に軽くて丈夫なので女性にも人気です。飛騨の家具のイメージは少し昔ならカントリーや飛騨アンティークが主体でしたが、モダンなデザインがこのメーカーは得意です。

イバタインテリア 飛騨古川に工場があり、曲げ木の最新型機械で従来の曲げよりも3次元の曲げなどもこなせるメーカーです。曲げ木は木を削りだして丸くするよりも木の繊維をつながったままにしてあるので強度があり弾力性もでてきます。曲げ木ができるメーカーは国内では少なくデザインにも有効です。高級な一枚板を使わなくても集成材でみみ付テーブルを削りだす技術があり、やすらぎシリーズグレースシリーズでは木のぬくもりを感じさせています。また木楽(キラク)シリーズは飛騨民芸家具を製品化したもので落ち着いたシリーズになっております。また昭和初期の時代を思わせる飛騨浪漫シリーズ(限定販売)は懐かしさを思わせるデザインをしています。 飛騨民芸をとりいれた「蔵」は木のぬくもりが肌で感じられる重厚感あるシリーズです。

シラカワ カントリー系の家具中心ですが、現代モダン住宅にもあわせられるようなシリーズもあります。シンプルなデザインでありながらラインは太めで飛騨らしい丈夫な家具をつくられています。システム家具のFlat&Carra&Mistはリビングボード・テレビボード・ワードローブ・ダイニングボードをセミオーダーでつくれます。Authenticは塗装色を選べるオーダーテーブル・チェア。いろんなサイズで製作可能なです。和魂和蘇などはシラカワのこだわりのデザイン・製品で、高級感があります。

ほかにも 柏木工木馬舎(こまや)、丸文木工飛騨曲木民芸家具キタニオークヴィレッジほかがあります。