~木と生き、人と育つ~
家具のいのちの半分は、大地が育てたもの。私たちが手塩にかけられるのはあとの半分です。何十年の歳月をかけて立派な樹木になったのだから、そのいのちを少しも無駄にしたくありません。豊かな生活とは、ものをふんだんに使って贅沢をすることとは違います。むしろその逆と言ってもいいかも知れません。
ひとつでもいい。本当に気に入って大切にできるものだけを持つ。人はようやくその豊かさに気づき始めています。私たちが一点一点手間ひまを惜しまず、少量生産でも自分が納得できるものだけをつくり続けているのは、そんな人々の気持ちに応えたいからです。
「ナチュラル&クラフトマインド」。匠工芸の創業時のコンセプトは、これからも変わらず製品の中に生き続けていきます。
~職人にしかつくれないもの、職人だけが語れる思いがある~
世の中がどんなに情報化,機械化されても変わらないものがあります。匠工芸がコンセプトにしている「クラフトマインド」は、手で作るものの味わいやオリジナリティ、木の素材感を大切にする精神。そして何よりも、つくることを愛する人間が生み出すものの魅力を伝えたいという気持ちです。ですから匠工芸では社長もスタッフも、ものづくりの現場ではひとりの職人。私たちの家具がほかのどの製品とも違うのは,そんな独特な体質のせいかも知れません。
旭川は、若年技能者の技能習得意欲と技能水準の向上を目的とした「技能五輪国際大会」で多くの出場者、受賞者を出しています。匠工芸では若手の人材を育てるため、工場を従業員に開放したり、また技能士の資格を取得した社員に技能手当を支給するなどの制度を設けてバックアップしています。
~匠の家具達~
人はなぜ、鉄やステンレスよりも木の椅子を愛するのだろう。ぶつけると傷つき、乱暴に扱うと機嫌が悪くなる。そんな生き物みたいな「体温」にひかれるのでしょうか。私たちも、これまで一度として木を単なる材料と捉えたことはありません。木はまぎれもなく生きものです。言うことを聞かないことも、暴れて手がつけられないこともあります。そのぶん、大切に扱うと素直になるし、心をかけると思い通りに美しく育ってくれる。そう、まるで子供のように。
私たちには責任があります。遠い森からはるばるやって来た木に、かけ心地のいい椅子としての、あるいは使いやすい収納としての新しい人生を授け、未来へ船出をさせてやる責任。素材の使い方や微妙な丸み、ちょっとした手触りがそれらを左右します。匠工芸のものづくりが、いつでも手から始まるのはそんな理由からです。